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色にでにけり 恋

第7章 恋文

自室へもどった遥暉は、上出がくれた返歌の書かれたメモを机に開いた。



『風光る 君立つ丘の 藤の下
さやけき瞳に 永遠映らむ』



じんわりと涙がわいてきた。



「澄み切った瞳に映っているのは・・・なに?

ねえ・・・、

かみ・・・で・・・せん・・・・・・ぱ・・・。」



白く細い指先で何度も何度も上出の筆跡をなぞり書き、名を呼んだ。


しばらく机に突っ伏して、進展しない二人の関係について考えた。




--いつも僕ばかりが暴走している。

先輩は冷静で僕の昂ぶった感情を
なだめ落ち着かせてくれる。

でも、何かが違うような気がする。

キスより先はどうすればいい?

先輩は女子と付き合った経験が
あるようなことを言っていた。

男同志でも同じことする?

いや、そもそも・・・・
僕が相手では気分が乗らない?




遥暉は起き上がってシャツの襟を引っ張り、自分の平ぺったい胸をのぞいて首を振る。




--この間痴漢に触られたって何もかんじなかった。




「はぁあ。どうすれば…。」








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