色にでにけり 恋
第7章 恋文
「おや、何か制作するのか?」
遥暉の部屋の隅にあった製作用机の上の和紙と扇型尺のセットを見て聡が尋ねる。
「あ、ええ・・・・・・。」
「扇子を作るのか。」
「はい。」
「今年用に僕のも作ってもらえないかな。
もちろん遥暉の制作が終わってからで構わないよ。」
「分りました。絵柄や骨の希望があれば・・・・・・。」
「任せるよ。」
「お話は何でした?」
遥暉が部屋の奥からお気に入りのアンティークの折りたたみ椅子を出してきて聡に勧める。
「ありがとう。話というほどでもないのだけれど、」
聡はそう前置きをして続けた。
「遥暉は保坂泉とかいう子と知り合いか?」
遥暉は先日圭一や慶矩と同じように、聡も保坂についての説教を始めるものと思った。
聡が尋ねた途端、拒絶するように聡に背を向け和紙に向かった。
「まあ、同じ藤蔭の先輩ですね。」
聡は遥暉が辛うじて返事をしたので、それ以上詮索をしないことにして、慣れた手付きで器用に和紙に扇型を取っていくのを眺めていた。
遥暉の部屋の隅にあった製作用机の上の和紙と扇型尺のセットを見て聡が尋ねる。
「あ、ええ・・・・・・。」
「扇子を作るのか。」
「はい。」
「今年用に僕のも作ってもらえないかな。
もちろん遥暉の制作が終わってからで構わないよ。」
「分りました。絵柄や骨の希望があれば・・・・・・。」
「任せるよ。」
「お話は何でした?」
遥暉が部屋の奥からお気に入りのアンティークの折りたたみ椅子を出してきて聡に勧める。
「ありがとう。話というほどでもないのだけれど、」
聡はそう前置きをして続けた。
「遥暉は保坂泉とかいう子と知り合いか?」
遥暉は先日圭一や慶矩と同じように、聡も保坂についての説教を始めるものと思った。
聡が尋ねた途端、拒絶するように聡に背を向け和紙に向かった。
「まあ、同じ藤蔭の先輩ですね。」
聡は遥暉が辛うじて返事をしたので、それ以上詮索をしないことにして、慣れた手付きで器用に和紙に扇型を取っていくのを眺めていた。