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色にでにけり 恋

第9章 マーメイド

「後輩に『宮中』の二人の泳ぎを見せられるなんて、ラッキーだ。

必ず参考になるはず。」



チームのエースとしての顔。



「丸山ぁ!なんだそのターンはぁ!!」



保坂が叫ぶ。



「どこか変だったか?」



チームメイトの言葉に、保坂が真剣な表情で答える。



「丸山のターンはあんなもんじゃない。

もっと静かで、もっと早くて

とにかく綺麗なんだ!!」



上出は驚いた。



――保坂は遥暉の泳ぎを知っているのか?




遥暉が大きな大会に出たのは、中2の1シーズンだけのはず。


それも2年も前の話なのに…。


あの時の県大会に、弱小の藤蔭中学なんて出ていなかった筈だ。







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