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momo

第1章 はじまりは

関西弁で怒鳴られるのが苦手な理由はわかってる。

1年前から付き合っている瑛(あき)は大阪生まれ大阪育ちで、世間的に言うところのデキル男だけれど怒るとすごい勢いでまくしたて、ものに当たる。

暴力ではないしまあ、と思うものの同じように関西弁で怒鳴られればそのときの記憶と重なり身体が震える。



そんなこんなで仕事を終えふらふらになっていたところに、瑛から仕事終わったら行っていい?とメール。

今日は疲れてるからごめんと返せば瑛の返事はすぐにそっけなくなり、下心で言ってきていた事が手に取るようにわかる。ふと、今日の事を聞いてもらおうかという考えが浮かぶが即座にそれを打ち消す。

話したって、どうしてそんなにネガティブなのとわたしが責められ気持ちが沈んで終わるだけだ。



(癒されたい...。)



乗り換えの電車のホームへ向かおうとしていた足が自然に止まる。公開中の犬の映画でも観てから帰ろう。


気づけば足は駅の出口へと向かっていた。

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