短編集。
第1章 誘拐犯×お姫様
もう、涙は出てこないと思ってた。
水分も何もとってないのに不思議と涙は止まらない
「...こう、きぃ...」
「ん?」
え?
「どーしたの?美雨。」
...っ!?
「...こう、き?」
僕の部屋は2階なのに、そのベランダには光喜が...
「美雨、言ったでしょ?
必ず、必ず迎えに来るって...。
ほら、一緒に行こう?」
そう言って僕に手を差し伸ばす光喜。
手に触れる。
光喜の匂いがする。
光喜の、ぬくもりがある。
『えー、長年平和だったこの街に戻ってきました。約、3年前この街を騒がした誘拐犯が、また事件をおこしたとのことです。今回は、前誘拐された...』ブツッ
「光喜、またテレビで人気者だね。」
テレビを消す光喜に話しかける。
「そうだね。でも、俺は美雨だけでいい。
大量の金も、土地もなにもいらない。
美雨、美雨だけが俺の大切なものだよ。」
あの日から僕達は、別の人間として暮らしている。
もちろん、愛は前よりも一つになってる。
近々結婚式をあげるつもりです。
もちろん、お母さんとお父さんも来てくれる。
二人は、僕たちの味方だから。
ニュースや、雑誌で取り上げられても
僕達を引きはがすことなんてできない。
僕たちは、お姫様と王子様で結ばれなければいけない二人だから。
END