
短編集。
第2章 客×花魁
それから、16になろうとした頃。
「お魅姫?」
「お菊さん、なんでありんすか?」
お菊さんは、私が7の頃からすごく優しくいろいろ教えてくれた。
ここは簡単な考えじゃ引退できないこと。
体を早々簡単に捧げちゃいけないってこと。
お菊さんも男だってこと。
ここは、顔が綺麗だったら男も女も関係ないらしい。
というか、男の方が人気だったり?
そして、僕は今16になろうとしてる。
鮮やかな着物に袖をとおし、髪を結び、飾りをつけ。
ここまで、綺麗な格好ができてるのは
お菊さんの、禿だったから。
「お魅姫もそろそろ、張り店やりんせんか?
立派な花魁になるには、まず顔見せせんといけんせん。
だから、お魅姫がいいんでありんしたらやりんしょう?」
お菊さんが、僕のために勧めてくれた張り店。
まだ、15の僕にこんないい機会はきっと今しかないだろう。
「わっちは、断る権利はありんせん。
お菊さんが、せっかく勧めてくれた張り店
絶対、やってみせんす。見ててくんなまし」
お菊さんが、勧めてくれたんだ。
絶対、モノにしてみせる。そう心の中で誓った。
