
短編集。
第2章 客×花魁
「うふふ」
「嫌だ、お香(こう)さん。冗談はよしなんし」
「いいじゃありんせんか。ねぇ?お香さん」
周りには、僕より歳が上そうな女の人たちが楽しそうに喋っている。
皆、着物が鮮やかで綺麗だ。僕なんか...。
「おー、今日も綺麗だ。」
「ん?あの真ん中の、新人じゃねぇか?」
「ん?にしては、綺麗すぎねぇか?」
僕の今日の格好は、中に緑と白を半々。
金とオレンジの着物、その上に赤い色とりどりの着物を羽織る。
帯は、白と銀が印象的な綺麗なもの。
そして、髪の毛は蝶のように結び左右対称に色々なかんざしを刺している。
そして、目尻に赤い色を塗り。口紅も赤い。
自分でも綺麗だと思った。
「決めたぞ。俺は、あの花魁に金を出す。」
「おいおい、お前じゃかなわねぇよ」
「確かにそのとおりだ」
僕を見て、そんな会話をして笑ってる男の人たち。
ただ、座って笑ってるだけでこんなにも人は集まってくるものなんだな。と、その時僕は思った。
「なぁ、ぬし名をなんと申しんすか?」
突然横から声をかけられる。
「わっちは、お魅姫と申しんす」
そう言って、横を見ると。
すごく、綺麗な人がいた。僕とは違って
黒と紫を特徴とした着物を着ている。
「綺麗な名でありんすな。
お魅姫ちゃんは、いくつでありんすか?」
「今日で、16でありんす。」
「まことでありんすか?
わっちと同じ生まれでありんすね。」
そう言って、僕に笑いかけてくる人。
「まことでありんすか?
偶然は凄いでありんす。ぬし、名をなんと申しんすか?」
「おゆるしなんし。わっちは、心姫(しんき)と申しんす。
でも、すごい偶然でありんすね。
いい友になりそうでありんす」
偶然であった、同じ誕生日の心姫。
漢字も、最後のきが同じで二人で顔を合わせて笑った。
それから、すごく仲良くなっていった僕たち。
