
短編集。
第2章 客×花魁
あれから、僕たちは親友と言えるほどまでなんでも話せる仲になった。
「魅姫!聞いてくんなまし」
そう言って、嬉しそうに走ってくる心姫。
「こ...ぅわっ!」
走ってるせいで、着物の裾を踏んで転びそうになる心姫を支える。
心姫は僕と同じ身長で、よく顔も似てると言われる。
「もぉ、心姫急ぎすぎでありんす」
「ごめんなんし。でも、聞いてくんなまし!」
すごく、目を輝かせて僕を見てくる心姫。
「なんでありんすか?
そんなに、嬉しそうな顔をして。」
「わっちに、想い人ができんした!」
そう言って嬉しそうに言うものだから。
「めでたいでありんすな。応援しんす」
そういうと、僕に抱きついてくる心姫。
「わっちの家族は、魅姫だけでありんす。」
「わっちの家族も、心姫だけでありんすよ」
この時から、狂い始めてたんだ。
僕たちの物語、悲劇が幕を開けようとしていた。
僕たちは、まだ気づいていなかった。
これから始まる、残酷すぎる悲劇を...。
