
短編集。
第1章 誘拐犯×お姫様
〜♪
車の中では、僕の好きな洋楽がかかる。
『美雨。美雨、元気出して。』
僕のお気に入りの王子様のぬいぐるみが喋る。
車はリムジンで、中が広いのをいい事に僕の部屋みたいに作ってもらったおかげで、中はクマのぬいぐるみをモチーフにした作りになっている。
「はぁ、王子様迎えに来てよ。」
キキィイィイイィィイイイ
「ぅわっ」
いきなり、急ブレーキがかかる。
ぬいぐるみなどのおかげでどこも打ってない。
さすが、僕のお友達だ。
すると、運転手さんが来てくれた。
「美雨様、大変失礼しました。お怪我はございませんか?」
「あ、うん!大丈夫だよ♪」
すごく、心配そうな顔をするから笑顔でいう。
「そうですか。大変申し訳ございませんが、少々お待ちしてもらってもよろしいでしょうか?」
ん?どーしたんだろ?
「まだ、周りは危ないかもしれませんので外には出ないでください。では、失礼いたします。」
ん?外で何かが起きてる?
『美雨、大丈夫、大丈夫だよ。からなず迎えにいくから。待っててね、美雨』
「ぇ?」
初めて聞く音声。
これは、喋った言葉を録音するもの。
母と父が昔、お兄ちゃんが欲しいと行った僕にこれをくれた。
元気出してと言う言葉と大丈夫?と言う言葉しかないはずなのに…。
パリーンッ
え?
隣で、ガラスがわれる。何が起きてるのかわからない中で僕の目に写ったのは黒い髪の男の人だった。
