短編集。
第1章 誘拐犯×お姫様
「んっ…」
頭がほわーとする。
「…どこぉ?」
眠たい気がする。
「あれぇ?」
どうして、ここにいるんだろ?
ぽわぽわする頭の中で必死に考えるけど、何も浮かばない。
カチャッ
「あ、起きた?」
いきなり、寝室?のドアが開いて男の人が入ってくる。黒い髪に黒い目。黒いVネックの長袖にスウェットを履いている。
「ん。」
僕は、こくんと頷く。
「はは。きみ可愛いね」
そう言って、微笑みかけてくるこの人。
「あ、お腹減ったりしてない?」
僕の頭を撫でながら話しかけてくる。
すごく、落ち着く。
「のど、渇いた」
すごく、喉が渇いた。
「おけ。わかったよ、待っててね?」
そう言って、寝室を出ていく。
もしかして、あの人さっき車の中で見た人なのかな?王子様が迎えに来てくれたの?