
短編集。
第2章 客×花魁
「やっぱり」
ん?
何が聞こえて目を開ける。
まだ、真夜中。どーやら気絶していたらしい。
「んっ…魅姫?」
もそっと動いた僕の肩が、離れたのが寂しかったのか僕の肩を抱き寄せる男。
「ねぇ、なんで魅姫と一緒にいるの?かい」
かい?この人の名だろうか?
そんなことを呑気に思ってると
ガバッと勢い良く、かいと言う名の愛しい人が僕の目の前に出てきた。
「ぬし?」
グチュ
なにか、柔らかいものを刺したような音が聞こえる。
「え?」
どさっ
心姫の腑抜けな声と共に怪我倒れる。
かいは真っ赤に染まっていた。
「…ッ!?ねぇ!ねぇっ!どーしたの!なにがあったの?」
その場に座って、ぶつぶついってる心姫の手を見ると刃物が握ってあった。
「くっ…げほっ」
どば
かいの口から血が飛び散る。
「しっかりして!今、人を呼んでくるから!」
がし
立ち上がろうとした僕の手をかいが掴む。
「い、かないで…けほっ…魅姫、俺を見て?」
