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白の歌姫

第3章 もうひとつの旋律

萎縮して、梨杏は床を見詰める。
結城は梨杏の返事を待たず、ピアノの前に座る。
「一番得意な歌は?」

梨杏は答えない。
長い沈黙が始まる。
結城は、ただ梨杏を眺めている。
その鋭い眼光で。


20分ほどそうしていただろうか、結城は時計を見て立ち上がった。

「また来るよ。」

結城はそんな言葉を残して部屋を後にした。

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