テキストサイズ

白の歌姫

第1章 ひとり

真っ白なワンピースに長い黒髪。
彼女は裸足でいることを好む。

音楽室の扉が開いた。
梨杏は微笑み、頭を下げた。
そこに現れたのは梨杏の担当教官、高橋篤人だった。
少し冷たい印象を与える整った顔に優しい微笑みが広がる。
「おはよう三波さん。」
低い落ち着いた声で彼は挨拶をする。
梨杏は頭を下げてそれに答えるだけ。

「じゃあ、授業を始めようか。今日はアメイジンググレイスだね。」
高橋はそう言ってグランドピアノの前に腰かけた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ