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白の歌姫

第1章 ひとり

高橋がピアノを弾く。
細く長い指が鍵盤の上を踊っていく。
朝日に照らされるその顔を見れば、神経質そうであり、しかし端正な顔立ち。たまに浮かべる優しい微笑みと、落ち着いた声は、学園の女学生に人気がある理由の一因だろう。


前奏が終わり、梨杏が息を吸う。


優しい旋律に梨杏の声が導かれ、美しい音楽が奏でられる。
朝日のなかに歌声がきらめいているようだった。

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