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白の歌姫

第1章 ひとり

間奏の途中で梨杏はふと窓の外を眺めた。

鳥が近くの樹にとまり囀ずっている。
けれど、窓ガラスはその可愛らしい声を梨杏に届けはしない。

伴奏が止まる。
梨杏がハッとして高橋を見る。
高橋は無表情に眼鏡を直す。
「三波さん、なにをしてるんですか?」
梨杏は縮こまって床を見つめる。
「集中力が足りませんね。僕がいつ、間奏の時は休憩してもいいと言いましたか?」

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