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白の歌姫

第2章 鎖

窓から見下ろした中庭を通る。
朝より沢山の学生がたむろしお喋りに興じている。
日の光は明るく、風が木々の葉をゆらす。
梨杏は、そんな世界の動きに何一つ目もくれず、ただ家路につく。
そんな彼女に、誰ひとり話しかけない。

『高橋の秘蔵っ子。』
『恋人なんじゃないの?』
噂が彼女を取り巻く。

彼女はそれらのどんな言葉にも気づかず、白いワンピースと黄色のサンダルを見にまとい、今日も1日を終える。

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