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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を


2.2 空白


ーーーがう、りい・・・・・・

このことを言うのだと、ゼロスは思った。反吐が出る、と。
眠りの時間くらいは、彼女を独り占めしている。そう・・・・・・思っていた。

だのに。

少女が、幸せそうに口遊んだのは、あろうことか・・・憎んでも憎み切れないあのーーー彼だった。

「・・・好き、なの・・・んね、・・・がう、りい。・・・・・・ずっ・・・と・・・」

ゼロスは、なにも言わない。
なにも言わず、苛立たしげに彼女を無造作に寝床に寝かせた。
・・・わかっていた。
彼女はまだ、彼を愛している。
でも、夜のひと時は、自分を愛してくれていると信じていた。
ーーーーなのに、彼女は・・・!!

(彼女は、僕を見てはいない・・・なら・・・)

寝ている彼女を抱き上げ、空間を渡る。ただ、ただ。今のゼロスにあるのは、嫉妬、怒り、憎悪。
誰に対してかもわからない。
彼女は、彼を忘れられないと言った。しかし。
流石に、我慢も限界だった。

(あはたは・・・・・・彼しか見ていない・・・・・・!)

たどり着いたのは、一件の酒場だった。
そこに、人目を引く金の髪を持つ彼を、青年は見つけた。

「ガウリイさん」
「・・・!ゼロス・・・それに・・・!



リナ・・・・・・!」



「起きたら、彼女に伝えてください。




いい、実験体になってくださって、ありがとうございます、と」

闇が、妖しく笑った。

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