SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ
第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を
2.3再会
あれから一ヶ月。一人旅がまた始まった。
眠れないのは相変わらず。
悪夢も見る。
でも、大丈夫。
誰も、頼るわけにはいかないないから。
少女は、ふと立ち止まり、青い空を見上げ、それからうつむいた。
あれから、少女は泣いていない。
強く、前に進むと、決めたから。
ーーもう、大丈夫。
しばらく一人で町外れの道をあるいていると、明らかに軽そうな男がリナの肩に手をおいて話しかけてきた。
この街灯は人が少ない。なのできっと通った女の子に片っ端から声をかけているのか、やけに手慣れている男の言葉と行動。
でも、少女はなにも感じない。
心には、相変わらず穴が空いたように、何かが抜け落ちたように。
世界も、モノクロのまま。
寂しい世界は、まるで自分の心を写しているようでーー。
それでも、追い払わなければ後々厄介だと考えたのか、少女は詠唱を始める。
「火炎球」
あたしの魔法が・・・あれ?
炸裂しない。
少女はハッとした。そうだ、今朝。
月に一度のあの日でーーー
すると、ナンパの目が怪しく光り、リナを俵のように担ぎ上げた。
しばらく小道から外れた、獣道のような道を歩きーーー連れて来られたのは誰もいない洞窟。
どうやら男はここを隠れ家にしているらしい。ようやく引っかかったのか、やけに嬉しそうなニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべ、リナに手を伸ばした。
なんとか、それを振り払う。そして洞窟を抜け出し、どこへ向かうともなく彷徨う。とにかく、奴から逃げたい。
あんなやつに犯されるなんて、冗談じゃーーーー
リナは、もうなにも考えられなかった。開けた場所に出たかとおもうと、足元が突然がらり、と音を立てて崩れる。
あっーーー
悲鳴を上げる暇もなく。
リナは崖から真っ逆さまに落ちる。
ーーーー死んでしまう。
ーー最期に、言いたかった
「ぜ・・・ろす・・・あいして・・・ーーーーーー」
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