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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を

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優しく、誰かがあたしの髪を梳く。
慣れてしまった感覚に、あたしは急に覚醒する。

「・・・!

・・・っ、どう、して・・・




ねぇ・・・なんで、あたしを死なせてくれなかったの・・・・・・?







ゼロス・・・・・・」

少女の悲痛な叫びに、魔の青年は、なにも答えず激しくリナの唇を奪った。くるしくて、息が出来なくて、リナはなんとか離すよう、ゼロスの胸元をドンドンと叩く。
しばらく貪るような口づけのあと、ゼロスはリナを解放した。
久しぶりに感じる彼の体温。
冷たいけど、優しい。

「な、なんで・・・っ」
「・・・貴女が、いけないんです」

絞るような、苦しそうな声音。
少女は、微かに青年が震えているのを感じ、はぁ、とため息をついて、抱き寄せた。

「あたしが、なんだって?」
「・・・貴女が、あの夜ーーあの、森で野宿をした夜。幸せそうにあの彼を、呼ぶから・・・・・・」

あの、森で・・・と、リナは思い巡らせる。そうだ。ガウリイが久しぶりに夢に出たあの日。
もしかして。寝言でガウリイって、呼んでたのだろうか?
それを、ゼロスは勘違いして、自分を突き放したと言うの?



ぷっ。


うははははーー!

リナは、あまりの馬鹿さ加減に、ゼロスを笑ってやった。あのゼロスが、勘違い?で、嫉妬して八つ当たり?あまりにも間抜けなこと請け合いだ。

「・・・ははは、ごめんごめん。
違うわ、あの夜は・・・」

リナは、ゆっくりゆっくり。
あの日見た夢のことを話して聞かせた。
ゼロスは最初は訝しげにリナを見ていたが、夢の内容を理解するうち、自分がやらかしたことに羞恥心を感じたのか、魔族だと言うことも忘れるほど顔を真っ赤にしていた。

「ごめんね。あたしも、もっとはっきり、自分の気持ちに気付いていたら・・・」
「本当に・・・自分が情けないですよ・・・」

ゼロスは、にこりと笑って、少女を抱きしめた。そして、3度目の告白を、する。

「なら、もう一度・・・伝えます。

僕の、恋人になってくださいますか・・・?」
「・・・もう、わかってるくせに。


・・・あたしを、ゼロスの、恋人にして、下さい」

久しぶりの穴を埋めるように。そして、今度こそ二度と離さぬ様に。
二人は、ずっとずっとーーあたりが夕闇に染まるまで、お互いをきつく抱きしめ合っていたーーー


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