SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ
第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を
「あなたさえ・・・
あなたさえ戻ってこなければ・・・・・・!!!
わたしと・・・ガウリイ様の・・・邪魔をっ・・・・・・邪魔をしないでっっっ!!」
甲高い悲鳴を上げ、シルフィールはリナの胸部めがけて短剣を振り下ろす。
「あああああああああーーーーーーーーーっっっ!!」
「い、いや・・・・・・・・・っ!」
リナは咄嗟のシルフィールの動きに対処しきれず、ただただ瞳をきつく閉じた。
ーーーしかし、恐れていた痛みは来ない。リナはゆっくり瞳を開くと、自分をかばう様に抱きしめるのはーーー
「ぜ・・・ゼロスっ!」
「いやはや、僕、魔族でよかったとこれ程思ったことはありませんでした。
大丈夫ですか、リナさん」
「あんたは・・・っ、バカ!バカっ、ばかぁぁぁ・・・」
リナは涙でぐちゃぐちゃになった顔で、自分を庇って刺されたゼロスを抱きしめ返した。
「い、いやぁ、すいません。でも、バカではなくありがとうとお聞きしたいです♪」
「・・・っ、ありがと・・・」
「はい、リナさん♪」
ーーーと、ゼロスは纏う雰囲気を急に変えた。リナに向けていた優しい瞳は闇をその紫水晶に凝縮した様な色へと。常に隠す瘴気はリミッター解除され最大限に放出されて、ただの人間が浴びたら心臓麻痺で死ぬであろう程の冷たさ。
そして極めつけは声音。
死霊術師(ネクロマンサー)や呪術師が憎い人間に呪いをかける際に発する声ですら優しい響きに聞こえる程の、恐ろしい声。
さすがのリナも固まってしまう程の。
「今まで・・・まぁ、あなたはリナさんのお知り合いですし・・・
大目に見ていましたよ。
・・・が、止めました。」
「あ・・・あああっ、ゆ、ゆるしっ・・・・・・!」
「・・・・・・嫌ですよ」
ゼロスが、錫杖をシルフィールに向け、笑顔で。
「死んでください。」
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