SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ
第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を
「ゼロスっっっ!!」
リナの叫びに、ゼロスは動きを止めた。瘴気は霧散し、雰囲気もいつもの調子へと戻る。
「り・・・リナ、さん」
「殺しちゃダメよ。
あたしは、ガウリイとやり直すために来たわけでも、シルフィールに制裁を下すために来たわけでもないわ。・・・だから、大丈夫」
ーーー嘘に、少しだけ戸惑ってしまったけどーーーね。
笑うリナは少し寂しそうだった。
「シルフィール」
「ごめんなさい・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・ごめんなさいごめん・・・なさい・・・!!」
「・・・シルフィール。
あたしは、怒ってないわ」
「ーーー!リナさん・・・」
「でも。」
と。
平手打ちの凄まじい音が響いた。
リナが、シルフィールを叩いたものだった。
突然叩かれたシルフィールは目を丸くし、リナを見つめていた。
「これだけで、許したげる。
・・・・・・ばかよね、あたし。
ガウリイ奪われた時より、
・・・ゼロスに、あんな顔をさせたことの方が・・・ずっと、ずっとイヤだったなんて」
そう。
今の平手打ちは、ガウリイを奪ったことに対してでも、悪夢で苦しめたことに対してでも、ましてや、自分を殺そうとしたことに対してでもない。
ーーーさっきの、シルフィールに向けたゼロスの瞳。
・・・怖くもあった。でも、悲しそうな。苦しそうな。
・・・それは、自分を喪うかもしれないと、そう告げている様で。
そんな顔を、させたシルフィールに対しての平手打ちだった。
「あたしは、もう。
ガウリイとやり直そうとは思わない」
「・・・リナ」
「なに?ガウリイ。
あたしは、前に進んでる。時間はかかったけど。一人で立ち上がったわけじゃないけど。
・・・だからって、過去にすがりつく気も、戻る気もないわ。
ガウリイは、シルフィールを守ってあげなさい。あたしからの、命令」
リナは、強く。そして気高い。
そんなリナだからこそ、ゼロスも、ガウリイも惹かれた。
だからこそ、有耶無耶にした自分が許せなかったのだろう。
リナの言葉一つ一つ、重たくガウリイに、シルフィールに降りかかった。
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