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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を

ルナは笑った。
かすかに木々がざわめく。
しばらくルナは黙ったが、こんどは闇の青年に鋭い視線を向けた。

「よくもわたしの妹に手出してくれたわね」
「・・・すいません」
「まったく、嫁入り前の女の子にやすやす手を出す魔族って・・・」

呆れた様な、恋人である少女の姉の声音に、ただただ固まって身をすくめるしかできない獣神官。

「でも」



「手を出したのなら、それなりの責任取りなさい」



「・・・・・・え?」
「だから、ちゃんと責任取れと言ったの、わかるわね。
なあに、獣神官。まさかわたしの妹に散々手を出しといて逃げようとなんて思ってないわよねぇ?」
「い、いいえっ、滅相もありません、しっかり取らせて頂きますっ!!」
「・・・なら、いいわ。
どちらにせよ、少し寂しかったの。世界に一人しかいない姉妹なのに、なにも言わずに消えちゃうんだもの。・・・この、バカ妹」
「姉ちゃん・・・」
「いいこと、泣かされたり、この変態獣神官が浮気でもしたらメモリーオーブでも手紙でも寄越しなさい。わたしが滅ぼすから」
「・・・あい」
「・・・しないわね。獣神官」
「はい!!」
「・・・ふう、もう。仕方のない妹。どうして魔族なの?」

少女は、姉の言葉に押し黙った。
確かに、わざわざ苦労する魔族を恋人にする必要性はない。
ーーーでも。

「あたしは・・・ゼロスに救われた。
大切なの。愛してるの。・・・ごめんなさい。なにも言わずに旅立って。」
「僕も・・・リナさんを大切な方だと、思っています。勝手に妹さんを連れ回して申し訳ありません」

ゼロスも、深々とルナに頭を下げる。その様子を見て、たまらなくなったルナは吹き出して。

「まったく、かなわないわ。

リナ。


・・・後悔だけは、しない様に生きなさい。わかった?」
「もちろん。後悔なんて、してないわ」


リナの笑顔を見て、ルナも笑った。




ーーーお互い、本当にしあわせそうに。


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