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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第16章 金色の奇跡

「この宝玉は、貴女の魔力を封じるためだけのものですから」
つう、とあたしの胸元に埋め込まれた宝玉をなぞる。ーー知らなかった。
「ですから、それを取り出してしまえば貴女は今まで通り。彼とも旅を続けられますよ」
「・・・」
彼、と。
そうだ、あたしはガウリイを放ったらかしにしてたんだ。あの、休憩していた大木の場所に。
ーーどうしてるかな、なんて全く頭に無かった。
それよりも・・・
「・・・バカじゃない」
「・・・え?」
「戻れるわけないじゃない」
ーー今まで通り、なんて。ここまで人の心を引っ掻き回して、振り回して。挙句に、女の子の大切なものを全て奪って。そんな、散々『非常識』に慣らされたのに、今更何も無かったように『常識』へと戻ることなんか、できるわけない。
「ふざけないでよ・・・っ、人を散々好きにしといて、今更何よ」
「リナさ」
あたしはぐいっとゼロスを引き寄せ、ごたくを並べる唇を、塞いでやった。

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