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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を

1.2 不眠、悪夢の始まり

『ガウリイ。入っていい・・・?』
『ああ、いいぜ。どうした、眠れないのか?』

いつの会話だったろう。確か、街で魔族が大量虐殺しているのを見て、苦戦を強いられながらもなんとか滅ぼした、心がざわざわと落ち着かない、そんな日の夜。
夜中に寝間着一枚で男の部屋を訪れるなんて、無粋で無防備極まりないことをしても笑って許してくれる彼。
そんな、優し過ぎるほど優しいガウリイ。自分が、出会ってすぐに信頼できるほど、こいつは良過ぎるほど良い男だった。

『眠れないの・・・今日は、人が死に逝くのを余りにも感じすぎた・・・ねえ、一緒にいて、いい?』
『ああ・・・俺もだよ。なら、出会ってから今までの話でもをしようか』
『・・・うん、ありがとう、ガウリイ』

温もりを求め、彼に抱きつく。すると、彼もあたしに腕を回す。たくましくて、力強い腕に、あたしは安心感を見出した。
そのまま、あたしたちは昔話を始める。出会いについて。それから、長い旅路について。

『いろいろあったなぁ』
『結局それかっ。
・・・?ガウリイ?』

急に、彼は黙り込んであたしをじっと。まっすぐに見つめる。
真剣な眼差し。まるで、彼があたしと背中を合わせ、戦う時の瞳のような。

『でも、俺は脳みそヨーグルトでも、くらげでもパイナップルでもいい。お前を、守れるならそれで。
・・・好きだ。俺と、恋人になって欲しい』

のーみそヨーグルトの、くらげな彼の気恥ずかしくて、嬉しい告白。
あたしも、同じ気持ちだから。
断る理由が、なかった。

『仕方ないから、一緒にいてあげてもいいわ』
『仕方ないから、か。
まぁ、お前さんのいぢっぱりは筋金入りか。

・・・なぁ、キスしていいか?』
『ええ・・・許すわ』


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