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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を


「・・・でも、それすら。今では悪夢でしかない。幸せな時間を黒く塗りつぶす彼女が、ガウリイを奪って行くの。目の前で、彼と交わるの。毎回、毎回。ずっと、ずっと。幸せそうな・・・甘い悲鳴を上げて。


・・・っこわい


怖い、の。最初はただの、罠。本当の悪夢は・・・その後の、彼女の視線。・・・蔑むの。あたしを。ガウリイの隣にいる権利があるのはあたしじゃない、って。自分だって。


吐き気が止まらない。気持ち悪くて、怖くて、痛くて辛くて切なくて。・・・うらやましっ・・・くて・・・

あたしが、いて良い場所じゃないって。本当はそばにいたかったよ・・・ガウリイ。ガウリイ・・・ガウリイ・・・っ、ガウリイぃぃ・・・!」

糸が切れた。
まさにそれだった。
今まで淡々と話した少女は、悪夢の内容を話す度、【彼女】と【ガウリイ】と口にする度。
徐々に嗚咽が聞こえ、しまいには上の通り、糸が切れたように崩れ落ちた。

「・・・すいません、傷口を抉るつもりはなかった・・・」

貴女を、苦しませる原因を、聞き出したかったんですーー
消えいるようなゼロスの声に、リナは弱く首を振った。

「こんなこと、あんたに話しても仕方なかったわね。忘れて・・・」
「嫌です。
忘れません。貴女を、傷つけた彼らは、必ずバチが当たるでしょう。
・・・貴女は、まず休むべきだ。
とにかく、どこか、宿屋に・・・」
「ねぇ・・・ゼロス。


・・・お願い、聞いて?」

珍しい、彼女からのお願い。
聞かないはずがない。
つとめて優しく、聞き返す。

「はい。なんでも・・・
貴女の望むことは、全て叶えましょう」
「なら・・・



あたしを、抱いて」


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