SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ
第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を
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優しく、髪を梳かれる。
陽だまりの髪の青年?違う・・・開いた目に映ったのは、甘やかに微笑む黒髪のーーー
「ぜ・・・ろ、す」
「はい。よく眠れましたか?」
「うん・・・三ヶ月ぶりよ」
悪夢は見なかった。
いつもしつこく現れては自分を下卑する、あの彼女も。・・・彼と旅をしてる時の幸せだった頃の夢だって、かけらも見なかった。
久しぶりの安定した睡眠を得た少女は、輝きを少しだが取り戻した気がする。
その、見惚れるような少女の笑顔に、魔の青年も優しく笑い返し、額に口づけを一つ落とした。
それを、くすぐったいように受けて、少女はひとこと、ーーおはようとだけ、告げた。
少女は、微かに悩んだ。
自分は非情な・・・最低な女だろうか、はたまた、節操なしなのではないか、と・・・
この三ヶ月、ひと時も忘れなかったあの、優しく暖かい彼と、彼女。
それが、今。
自分を占めているのは魔族であるこの青年。
ーーあたしも、同じ・・・あの、彼女と・・・
無意識に顔が陰る。
それを見逃さない青年は、少女の小さな身体を抱き寄せた。
「そんな顔・・・しないでください。貴女は、幸せになる権利がある。苦しい、辛い悪夢はもう終わりです。終わったのです。
・・・貴女がこれから見るのは、甘くて優しい夢だけでいい。・・・僕が、貴女を独り占めしている夢だけでーーーそれだけです。」
そうだ。
もう、少女は悪夢を見ない。
魔族の、ゼロスが。
そばにいてくれる、優しい夢しか。
自分は、もう一人じゃない。辛くて、切なくて、痛いだけの彼と、彼女はもう、過去の話ーー過ぎ去ったこと。
「ありがとう・・・ゼロス」
自然に涙が溢れた。
人前で泣くなんてしなかった自分が。
ーーー悪夢は、もう見ない。
傷付くことも、しなくて良いんだ。
あたしの側には、ゼロスが居てくれるから。
守って、くれるから。
「リナさん。
僕は、貴女が【あの青年】と恋仲になった時、無いはずの心が荒れました。
貴女を、独占したい。なのに・・・と」
突然、青年はそう、優しく、しかし悲しそうに少女に話し出した。
なんだか、本当に保護者の青年を憎んでいるように。【あの青年】と言う言葉が、重く感じた。
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優しく、髪を梳かれる。
陽だまりの髪の青年?違う・・・開いた目に映ったのは、甘やかに微笑む黒髪のーーー
「ぜ・・・ろ、す」
「はい。よく眠れましたか?」
「うん・・・三ヶ月ぶりよ」
悪夢は見なかった。
いつもしつこく現れては自分を下卑する、あの彼女も。・・・彼と旅をしてる時の幸せだった頃の夢だって、かけらも見なかった。
久しぶりの安定した睡眠を得た少女は、輝きを少しだが取り戻した気がする。
その、見惚れるような少女の笑顔に、魔の青年も優しく笑い返し、額に口づけを一つ落とした。
それを、くすぐったいように受けて、少女はひとこと、ーーおはようとだけ、告げた。
少女は、微かに悩んだ。
自分は非情な・・・最低な女だろうか、はたまた、節操なしなのではないか、と・・・
この三ヶ月、ひと時も忘れなかったあの、優しく暖かい彼と、彼女。
それが、今。
自分を占めているのは魔族であるこの青年。
ーーあたしも、同じ・・・あの、彼女と・・・
無意識に顔が陰る。
それを見逃さない青年は、少女の小さな身体を抱き寄せた。
「そんな顔・・・しないでください。貴女は、幸せになる権利がある。苦しい、辛い悪夢はもう終わりです。終わったのです。
・・・貴女がこれから見るのは、甘くて優しい夢だけでいい。・・・僕が、貴女を独り占めしている夢だけでーーーそれだけです。」
そうだ。
もう、少女は悪夢を見ない。
魔族の、ゼロスが。
そばにいてくれる、優しい夢しか。
自分は、もう一人じゃない。辛くて、切なくて、痛いだけの彼と、彼女はもう、過去の話ーー過ぎ去ったこと。
「ありがとう・・・ゼロス」
自然に涙が溢れた。
人前で泣くなんてしなかった自分が。
ーーー悪夢は、もう見ない。
傷付くことも、しなくて良いんだ。
あたしの側には、ゼロスが居てくれるから。
守って、くれるから。
「リナさん。
僕は、貴女が【あの青年】と恋仲になった時、無いはずの心が荒れました。
貴女を、独占したい。なのに・・・と」
突然、青年はそう、優しく、しかし悲しそうに少女に話し出した。
なんだか、本当に保護者の青年を憎んでいるように。【あの青年】と言う言葉が、重く感じた。
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