SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ
第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を
「僕は、貴女を諦めることにしました。ですが・・・・・・出来なかった」
遠い目をして、ゼロスは一呼吸おいてから、まっすぐリナを見据えて。
「貴女が、欲しいんです。
生の輝きを・・・眩しすぎる輝きを放つ・・・貴女だけが。
ずっとずっと・・・ずっと。貴女が青年と恋仲になる、ずっと前から・・・貴女を目で追ってしまう自分がいました。
あの青年を、忘れろとは言いません。
でも・・・今の貴女は・・・とても脆い。また、傷付くかもしれない・・・そんなのは・・・耐えられない」
魔族らしからぬ感情に、一時はもどかしささえ覚え、リナを殺そうとしたことさえあった。
でも・・・でも。二度と動かない・・・冷たくなった少女・・・いや、そうなってしまっては単なる躯(むくろ)だ。
そうなった後のことは・・・想像すらしたくない。全てが否定していた。リナが死ぬことを。
だからこそ、リナと【あの青年】が、幸せになることを願うしかなかった・・・だのに。
ーー許せません。彼女よりも他のごまんといるただ見目が少しばかり良い女を選んだ彼も。そして、それだけでも重罪だと言うのに、相変わらず起きている時の彼女の心を縛る、あのただの人間の女も。
殺してやりたい。無残に引き裂いて、バラバラに壊して、骨の粉すら残らぬほど。
烈火で焼き尽くし、【存在】そのものを消してやりたい。
だけど、そんなことをしたら彼女が哀しむ。自分を責め、二度と自分を側になど置かないだろう。
「貴女を、護らせて下さい。
そばに居させて下さい。
・・・あなたが、好きです。
いいえ。
愛しています、リナさん」
切ない響きで、青年は愛の告白を少女に告げた。ずっと秘めていた思いが溢れる。強く抱き寄せられる腕も、何度も、何度も落とされる口づけも。起きがけにしてくれていたようにーー少女のふわふわの癖っ毛を梳かす優しい指も。
少女は、必要としていた。唯一の心の拠り所である、この青年を。細胞の一つまで、この青年を求めていた。
リナは、彼の告白に、ただなにも言わずに。彼の肩へとへと手を回し、離れまいと強く。強く。お互いを抱き合ったーーーー。
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