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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を

「買い物って・・・なんだったの?」

街を出て、ようやく次の町の中間地点にたどり着いたリナとゼロスは、森の中でひと時の休憩をしていた。
さっき、雨の中で待たされた少女は、よもや、買い物の内容を話さいと許さない、と言っている様で、青年は少し安堵する。
リナと、あの路地裏で再会してからというもの、リナは本調子でないらしい、軽口に軽口では返して来るものの、その言葉には覇気が全くなかった。
だからこそ、この変化が嬉しい。
リナの心が、少しずつだが、自分に向きつつある。
身体で繋ぎとめようなんて、考えていない。ただ、彼女の不安をーー恐怖に支配される夜の時間を安心出来る時間へと変えるためにする行為でしかないから。
そんなことはーーー虚しいだけだから。

「手を・・・」
「ん?」
「左手を、拝借いただけますか」

少女は、不思議がりながらも、言われるまま左手を差し出した。
それを恭しげに取り、人差し指に何かをはめた。

それは、小さなリングだった。紫の石はアメジスト。紅いきらりと自身を主張する石はルビィか。
それを眺め、少女は不思議そうに首を傾げ。

「これ、どんな魔力の効果あるの?」

と、さらりと。でも真剣に仰った。
その余りの突拍子もない少女の真摯な声音に、青年は思い切りズッ転けた。
せっかく、所有の証として贈ったリング。しかも、はめる位置も恋人に送る際に誰もがはめて欲しいだろうその大切な指にはめたと言うに。
・・・・・・あんまりである。

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