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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を

「こ、効果はありませんが」

この鈍感な少女は、青年が指輪を贈った理由もわかっていないらしい。
呆れを通り越すほどの鈍さに、青年は疲れた様にため息をついた。
このまま、だらだらと関係を続けるのは、辛すぎた。少女の力になりたい、支えてやりたい、甘えさせてあげたい。
そう言った願望がある反面、
恋人として見て欲しい。裏切ったあの青年と、泥棒猫の彼女を見ても、平気でいられるほど。自分だけを見て欲しい。自分だけを求めて欲しい。
ーーーーだからこそ、関係を変えなければいけない。今のままで良いわけは、ない。

「・・・リナさん」

低い、覚悟を決めた様な青年に、驚いたように少女は目をまん丸にして見つめる。
いつもの青年の雰囲気とは違う。
少し、恐怖さえ感じた。

「この間は、なにも返事を頂けませんでしたが。
貴女が欲しいと、お伝えしたはずです。・・・僕と、恋人になって下さい」
「・・・ゼロス・・・



・・・。」

リナは、黙り込んだ。
どう、返せばいいかわからない。
実際、青年と彼女を見てまだ、動揺してしまった自分がいるからだ。
きっと、彼から《彼女から離れたから、もう一度恋人に戻ろう》と言われたらまた自分は悩むのだろうから。
でも、ゼロスの存在も大きくなっていた。青年が消えたら・・・これが、悪夢の続きだったら。夢が覚めたら、ゼロスが消えている気がして。
ーーー矛盾。

彼が、まだ忘れられない自分。

でも、ゼロスの存在も忘れたくない自分。

相対する二つの心は、まだ少女を悩ませていた。

そんな、中途半端な気持ちで、果たしてこの優しい青年と向き合って、良いのだろう、か?

「リナさん。」
「・・・わかってた。

中途半端な気持ちはダメだって。
でも、ごめんなさい。まだ、彼が好きなの。・・・忘れたく、ないの。」


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