「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
「あっ、姫やっと来たね」
待ち構えていたかのように、にこっと笑って
嬉しそうに俺を見る翼先輩…。
いや、ちょ、それよりも
これは、一体どういう状態にいるのだろうか。
なぜ俺は、男子二人の裸姿を
目撃しなければならないのか。
一人あんぐり口を開けていると、
翼先輩に押し倒されていたはずの男子が
慌てて服を着て、顔を真っ赤に染めながら
俺の隣を走って横切ってしまった。
「えっと…理解が少し…」
いや、かなりしづらい。
「あ、さっきの子は俺の親衛隊だよ」
そんなことは、別に聞いてないけど…
親衛隊って確かファンクラブみたいな組織だったよな?
それは、わかったが
「なぜ裸…?」
そうなる必要があるのか?
「俺、よくここを使って欲を満たすんだよね」
だから先生も追い出しちゃったと後から付け足された。
「よくを…みたすって?」
具体的に教えてほしい。
決して、俺が頭悪いからとかそういう問題ではないと思う。
ただ、この人が
難しい言葉を使ってくるだけの話。
「姫には、まだ早いかー。あ、でも俺が……
“岬の初めて奪いたい――――”」
最後の方をやけに俺の耳元の近くで囁きやがった。
てか、今“岬”って呼ばれた気がする。
正直、鳥肌立ったわ。
それに言葉に早いとか遅いとかねーつうの。