「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
「鬼の特権覚えてるよね?…命令できるっていう」
「はははっ、それが?」
笑って受け流そう。
命令なんかされてたまるか。
ここは、思う存分とぼけて
そのことはなかったということにすればいい話だ。
「明日、土曜日で学校休みだし、だから一日俺と付き合ってよ。それが命令」
そう言って、にっこり微笑む。
「悪いが俺は、暇じゃないんでね」
せっかくの休日なのに
付き合ってられるか。
「あーぁ。それは残念だ。…“イチゴケーキ”もあるかもしれないのに」
「んっ!?」
何!?今、こいつ…!
イチゴケーキと言わなかったか!?
「せ、先輩…どういうことですか?」
まずは、落ち着いて話を聞こう。
「俺、実はホストやっててね。明日、客として姫に来てほしかったわけ」
「ホ、ホスト…?客…?」
一体、何だ?
その得体の知れないホストっていうのは。
「え、もしかして知らないの…?」
翼先輩は、変なものを見るかように
ガッと目を開いて俺を見た。
なんか、それ俺が惨めになる。
「はっ?し、知ってるし。そのくらい」
本当は、知らないけど
ちょっと強がってみた。
「へぇ~じゃあ何?」
うっ…。
ま、まさかそう聞き返されるとは…。
俺、考えろ。
ホスト…
ホースト…
ホースと…
あっ!馬と?
馬となんかするという意味か!
「あ、あれだろ…『馬と』みたいな?」
自信満々に答えてやった。