「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
だが、俺は
現実を甘く見すぎたようだ…。
授業が終わって
もうすでに放課後になっている。
俺は、今
自分が見ている光景に唖然とし、
溜め息がこぼれた。
「岬、いい加減起きろ…」
俺は、やれやれと呆れ気味にそう言って
肩を軽く揺すったが虚しくも反応なし。
そう、
岬が起きてくれないのだ。
…どうしようか。
早く、理由を白状させるつもりだったが
誤差が生じてしまった。
そうかそうか…。
なかなか起きない岬を見て思った。
こっち(現実)より、あっち(夢)の方が
いいってわけか…。
まさか、こんな頑固に育ってしまったとは。
目を覚ましたら、
お仕置き決定だ。
某アニメに出てくるのび◯と
互角の勝負ができる素質を持っている。
俺は、困り果てて目線をずらしたら
岬と同様で寝ている奴がもう一人いた。
俺が近々排除させたいと思っている野郎。
太郎改め、金太郎というキモい奴。
もし、こいつが
岬より早く覚ましてしまったら
手を出すのは目に見えている。
ややこしくなること極まりない。
その前に岬をなんとかしないと
埒が明かねぇ。
「岬、頼むから寝るのは俺だけの前にしてくれ」
耳元でそう囁くが
見事、無反応を俺にお見舞いしやがった。
分かりきってはいたが、
スッと、かましてくれると苛立ちがよぎる。
もう、これには…
罰を与えないとな?
口の端を上にあげると
俺は、岬と自分の分の鞄を左肩にかけて準備を整えた。
もう、これしか
方法はない。
そして、そっと
岬の華奢で小さな体を軽々と持ち上げる。
「ふっ…起きなかった岬が悪いよ?」
軽く笑みがこぼれ、
次の瞬間には抱き締めるように
岬を抱っこした。
俺の右肩には、岬の顎がのる。
これは、皆に
良い見せつけとなる。
そしたら岬を狙う奴が少しは
減るだろ。
いい考えを発見した俺は、
そそくさと野郎(金太郎)が起きる前に
クラスを後にした。