「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
何か、ウケ狙いで本気って言っているが無視しよう。
だって、余計
変な方向に行きそうだし。
…しかしっ、
やっと、着いたか~
マイハウス!
あぁー解放される。
自然と自分の顔が緩むのがわかった。
「よし、ご苦労だった大悟くん。俺は、そろそろ地面に足をつけたいのだ」
俺の偉そうな態度に
ぶつぶつなんか言ってたみたいだが
でもちゃんと降ろしてくれた。
おぉ、あいらぶ地面。
これほどまでに地面を恋しがったことはないぞ。
そして俺は、笑みを浮かべ
大悟に『じゃ!』と手を振りクルッと体を玄関の方へと向けて歩き出した。
「もう、岬ったら失礼な子ね!こんな子に育てた覚えはないわよ。あーもう…大悟くん、まだ時間があるならウチにあがっていって?」
母さんの言葉に、
今、玄関の扉を開けようとしていた俺の手が止まった。
「はい、喜んで」
背後で、
大悟の嬉しそうな声が響いた。
ちょ、嘘。
「えっ…大悟帰んないの?」
俺は、後ろを向き、
念のため確認をとる。
「せっかくだし……ね?」
ゾワッ。
最後の『ね?』に
ヒヤリと鳥肌が立った。
そのあと、大悟は
『失礼します』と礼儀正しく
家にあがりこんでしまった。
まだ玄関の外にいる俺。
「なぜ、こうなる…?」
…嫌な予感しかしない。