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「俺は、男だ!クソ野郎」

第6章 何で俺…女装してんの。








シーンと静まりがえる。



大悟は、急な俺の態度に

驚いてピタッと固まっている。






……ハッ。




そこで、とうとう

俺は、過ちに気づいた。



そう我に返ったのだ。



ちょ、待って。


や、やべぇ…。


相手はあの大悟だぞ!?



怒らすと

また面倒なことが待ち受けている。





勝ち目なんかほぼゼロに近い。

いや確実ゼロ。






むやみに啖呵切って出る所じゃないのに

俺ってば…命知らず!








だから大悟が言葉を発するまで

体を身構えておいた。







そして、少ししてから、

『そっか…』と寂しげに呟く大悟。


その姿は、ものすごく傷ついたように見えた。





あれ…?



想像していたのとは、違って

逆に俺が驚いていた。








「そうだよな、俺には関係ないことだよな…」


「え…ちょ、」



いつもは、こんな簡単に納得などせず、嫌でも理由聞いてくんのに。




なのに

なんだよ、コレ…。



いつもと様子が違う。



調子が狂うというか

どう反応したらいいのか俺だってわからない。






別に怒られたいとかいうわけじゃない。



ただいつもの大悟と少し違うことに違和感を覚える。




確認するが決して俺は、

Mではない。











「俺、今日は帰るわ。ごめんな…」



大悟は、そうひとこと残して

俺の上からあっさりと退いた。




そして、右肩にゆっくりと

自分のカバンを持って部屋から出ていった。




その出ていく大悟の後ろ姿が一段と暗く感じた。





「え…?」




これは、もしかして

怒らせるよりも傷つけた…?












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