「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
翼先輩の話はこうだった。
その仕事、所謂ホストってやつは、
女性しか受け付けないということらしい。
そうしないと念願だったイチゴケーキが
食べられないと脅された。
「でも、それってさ。無理ありすぎだし。俺、男だぜ?」
「あー大丈夫大丈夫。それは全然気にしないでいいから。姫は、そのままでもOKだけど一応念のためってやつがあるじゃん?だからそんなこと心配しなくてもいいよ♪」
「ああ?無理だし、うんこ」
遠回しに…いや、完全に
俺のことバカにしてるよな?
俺ってば優しいから
“クソ”じゃなくて“うんこ”という表現で
オブラートに包んであげた。←
小さい声で『せめて、伏せ字を使おうよ…』と言う翼先輩の声は無視する。
てか、いくら
イチゴケーキが好きな俺でも
今回ばかりは引き受けるわけにはいかない。
“男”としてのプライドを
捨てたくない。
まぁ、今までに
プライドは傷つけられたが…な。
まだ諦めてねぇんだよ、俺は。
ごめんな…イチゴケーキ。
頭にイチゴケーキを思い浮かべてながら儚く思っていると。
ガシッー
「っと。え、ちょっおい!!」
考え事をしてた俺は、
急に手を引っ張った翼先輩のせいで体がよろける。
「時間なくなっちゃうから、急ぐよ」
まだ了解したわけでもないのに
どんどん話を進めていく翼先輩。