「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
待て待て。
どう考えても無理だから。
ったく。
翼先輩は、人の言うことが
聞けないみたいだ。
「おい。いい加減、手を放せ」
「ムリムリ~」
サラッと受け流す先輩に
殺意を覚えた。
本当…この人が考えることなんて
想像もつかないほどウザい。
そのあと何回も
放せと言ったが、
俺の言葉は、呆気なく
吹く風とともに消え去った。
…え、それより、
今どこに向かってんの?
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――――――
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……。
それから数分歩いていると、
ピタッとある店の前で
急に翼先輩が足を止めた。
「うわっ!」
俺は、前を見ていなくて、
急に止まった翼先輩の背中に顔をぶつける。
「姫大丈夫?」
「急に止まるなよ!バカ!!」
痛いつーの。
おかげで鼻の方が少し
じんじんしている。
「ごめんね。でも目的の場所にもう着いちゃったから」
「目的の場所…?」
俺は、翼先輩が向いている方向に
視線を向ける。
「っえ!?」
俺は、目を擦る。
そこには、なにやら
オシャレな建物が。