「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
「ここどこだよ」
俺は、さっきからウザいくらい
キラキラと光を放っているオシャレなお店を
指差しながら言った。
…ここがあれか?
ホストクラブっていうとこか?
にしても、なんつー、こう輝いてるんだよ。
洒落てるな。
「ここでね、姫を女装させるんだよ♪」
「はっ!?」
おいおい、
どの口が言ってんだ。
「さっきも話した通り、俺の仕事、客は女性限定じゃん?だから姫、女装しないとね!」
「いやいやいや。それはさっき、きちんと断りました!」
なんで、俺がいちいち女装なんて
しなくちゃいけないんだ。
いやだ。いやだ。
いやだ。断固拒否。
もう、黒歴史に
何も刻みたくない。
「ダメだよ。ちなみに、ここで姫を変えてもらいまーす♪♪」
「ま、待てよ!勝手に話を進めんな。ここ、お前が働いているホストクラブってとこか?」
「あ、違うよ~。ここは、ただのメイクリストやスタイリストとか揃ってる所謂、美容院ってとこかな?」
「え…」
話の展開が早すぎる。
「ホストクラブは、少し暗くなってからだから時間はまだたくさんあるから安心して」
「てことは、まさか…」
「そのまさかだよ♪ここに来たのは、姫を女装させるため」
「はあああー!?それなら俺、帰る」
くるっと方向を転回させる。
けど。
「往生際が悪いな~もう。…キッスしちゃうぞ」
急に、翼先輩の手が伸びてきて
おまけにキモいことを耳元に囁かれた。
その言葉に硬直する。
「よし、いい子いい子。てことで入るよー」
俺の頭を撫でながら
翼先輩は、
遠足前の小学生みたいなテンションで
お店の中に入っていく。
ちなみに俺の手を引っ張りながら。
だから周りから見れば
憐れに引きずられていただろう。
ということで。
俺は半ば、いや完全に
無理やり連行された。
マジ、俺
気の毒で可哀想。
乙。