「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
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俺の助けてという願いは儚く散り、
咲さんに、着せ替え人形のように
試着を何回もさせられ、
とうとうそれが終わった。
なんてこった。
「岬ちゃんってば、こんなに可愛いなんて女の敵よ、もう」
咲さんは、そう言いながら
俺を鏡の前に立たせる。
「ははは…」
鏡に映っている自分に苦笑い。
シフォン地の白の
ふんわり可愛いフリルが付いている
膝上のワンピースを着せられた。
おまけにばっちりナチュラルメイクというものを
させられ、
パッツンと姫カットが組み合わされている
ウィッグまで被せられた。
俺に…なんてこと
しやがったんだ!
泣きたい。帰りたい。
でも別に咲さんは、悪くない。
悪いのは俺に
こんなことをさせたアイツだっ!
現在、この場にいない翼先輩に対して
苛立ちを覚える。
「今度、スポーティーとかフェアリーファッションもさせてね!」
「…」
咲さんがもう何言っているか、
わからない。
ただ一つ言えることは
もう、今度はしたくありません。
断じて。
はぁ…。つか、
それにしても、
腰から下のスースーする
この無防備な感覚?には、
いつまで経っても慣れない。
俺がガクリと下を向いていると
咲さんは、ニヤニヤした表情で
「ねぇ…ちょっと聞きたいことがあるんだけど♪」
と言って俺の肩を掴んだ。
「え…?聞きたいことですか?」
何か、怪しく笑う咲さんに
俺は首を傾ける。
「岬ちゃんの首に付いている“キスマーク”一体誰がつけたのかしら!」