「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
ま、でも咲さんに
まだ彼氏がいるかどうかわからない。
そうだ。
真実を知らなければ
落ち込まなくて済むではないか!
そう明るく?考えて、
そして、
荷物を全部詰め終えた。
「あ、咲さん!今度会うときは、俺が女装していたことを誰にも言わないでくださいね」
これだけは、
ちゃんと伝えておかないと。
「岬ちゃんの頼みだから、約束するわ」
咲さんは、微笑む。
なんて、話のわかる人なんだ。
翼先輩の知り合いとは、
到底思えない。
「じゃあ、俺もう行きますね」
咲さんと別れるのは、
寂しいけど、
運命でまた会えるかもしれない。
「気をつけてね。変な狼に襲われないように!」
咲さんは、心配そうに言う。
「よ、よくわかりませんが、それではまた」
そう言って、
頭をペコリと下げた。
そして、左手に
荷物が入っているショッパーを持って
出ていこうとしたその時だった。
「うわッ!」
前から衝撃を感じ、
そのせいで
無惨にも地面に尻餅をついてしまった。
…な、なんなんだ。
どうやら俺は、
また誰かとぶつかったようだ。
ちくしょう。
今日は、とことんぶつかる日なのか?
厄日でしかない。
後ろの方では咲さんが
『大丈夫?』との優しい声が聞こえた。
俺は、ぶつかった相手を
睨むように下から拝見する。