「俺は、男だ!クソ野郎」
第7章 助けて大悟…
そう思いながら
俺は、苦笑いを続ける。
「あっそれより、名前なんて言うの?俺、宇都宮 秀!」
「え?あ、えっと。田中です…」
突然、人の個人情報(名前)を聞いてくるから
つい咄嗟に偽名を使っちまった。
コイツ、こんなチャラチャラしてんのに
宇都宮…秀っていうのか。
「えー苗字じゃなくて名前教えてよ」
宇都宮さんは、口を尖らす。
いや、そう言われましても。
しかし…そうきたか。
また偽名を考えようとしていると
俺の太ももの上に奴の手が置かれる。
「ちょ何、触ってんですか」
俺は、慌てて手を払いのける。
うわ、まじ鳥肌立つよ。
なんなの、この人。
「だって、なんか触ってって言ってるような感じがしたから♪それより早く名前教えて?」
は?ふざけるな。
「あっち行け、ハゲ」
俺は、口を滑らせて
ぽろっと本音が出てしまった。
口元を押さえる。
いけね…。
でも我慢の限界。
宇都宮さんは、俺の態度の違いに
驚いて目を見開いていた。
「え、えっと今なんて…」
数秒後、すぐに宇都宮さんは
目をぱちくりさせながら聞き返してくる。
「いえ、何も?」
ここは、安全を考えて
俺は、とぼけることにした。
あとは、笑って誤魔化せるだろうなどと
思っていると
「おいそこ変われ」
そう言う誰かの低い声が聞こえてきた。