「俺は、男だ!クソ野郎」
第7章 助けて大悟…
「お前、他の客のとこ行け。俺がその田中ちゃんを相手する」
淳兄は、空気を読んで俺のことを
田中ということにしてくれたみたいだ。
それは正直助かる。
でも、淳兄…
その殺気どうかしまってくれ。
「えー今、田中ちゃんといい感じだし無理だよ」
宇都宮さんは、笑いながら
また言いたい放題言いやがる。
…いい感じってなんだ。
俺、ものすごく困ってるし嫌なんだけど。
「いい感じ?バカじゃねぇの?どう見ても一方的だろ」
淳兄は、宇都宮さんを睨み付けながら
正論を言う。
まさにその通りだ。
「は、はぁ!?一方的じゃねぇよ!」
宇都宮さんは、
淳兄の言葉に苛立っている様子。
「ほら、お前。あの客に指名入ってんぞ」
淳兄は、指差しながら行けよと促す。
どうやら、本当に
宇都宮さんは指名されてたみたいだ。
「チッ。マジかよ。…あ、田中ちゃんまたね!今度は名前教えてよ♪」
宇都宮さんは、淳兄を睨みながら舌打ちして
俺に笑顔で手を振ってから
しぶしぶ他の席へと移動した。
宇都宮さん、まじ苦手なタイプ。
「はぁ淳兄…助かったよ」
ホッと一息吐いて礼を言う。
「そんなこと別にいいよ。お帰りなさいませ、お嬢様」
なにやら急に淳兄は、
執事みたいなことを言ってきた。
お帰りなさいって…ここ俺ん家違う。
まぁ、ここではそれが挨拶なんだろう。
「えっと…ただいまです?」
どう対応すればいいのかわからなくて
一応返事をしとく。
うん、いまいちルールがわかんね。
説明書ぷりーず。
そんなことを思っていると、
淳兄の雰囲気が変わる。
「…ところで、岬」
宇都宮さんが去って安心した束の間、
また新たな恐怖が襲ってきた。