「俺は、男だ!クソ野郎」
第7章 助けて大悟…
「あー…それってつまり、俺に先を越されて悔しくて腹を立てているってことか?」
もしかするとそういうことだよな。
こんな平凡(言ってて辛いが)な俺が
キスできるような相手がいないと思っていたけど、
結果、まさかのいたという驚きで
妬んでいるということだろ。
要は。
ちぇ…
俺もなめられたもんだ。
だけど、した相手は
女の子ではなく残念ながら男だからな。
なんとも言えない複雑な気分だ。
イコール、妬んで腹立てる必要は
微塵も無い。
でも正直にキスした相手が
男だと言うのは気が気じゃない。
プライドを捨てるか、
それともこのまま淳兄が怒っているのを
隣で必死に耐えとくかのどちらか。
どっちにしろ、選んでも
想像できるのは全て地獄だな…。
「俺がそんなことで腹を立てると思うとでも?俺がこうしてイライラしてんのは、大切にしていたものが誰かの手によって汚されたということだよ。ねっ、わかる?」
淳兄は、次の瞬間
両手で俺の顔を左右から押さえつけて固定した。
目線を淳兄から決して離れないように。
「え、あ、えっと…わ、わかってます…!!」
歯切れが悪くなってしまったが
コクコクと頷いた。
実際は、1ミクロンもわかってないが
命の危機が迫っているので
そうした方が正解だと本能的に思った。
「…岬。本当にわかってる?」
「いえ、わかってません。」
「だよね」
そして、これも本能的に素直に言った方がいい思った。
だって、こう…
静電気みたいなものがビビっときたし。
俺の悪いセンサーは、結構当たるのだ。