「俺は、男だ!クソ野郎」
第7章 助けて大悟…
や、やめろ…っ。
想像もしたくなかった光景。
疑いたくなる光景。
それが目の前で起きてるなんて
俺にとって最悪だった。
それに欲情の炎を目に宿した淳兄の
動きは止まることなく、
俺を貪るように唇を重ねてくる。
深く合わさった唇の間から、
唾液が流し込まれた。
それが淳兄の唾液と認識するまで、
そう時間はかからなかった。
「んっ……、はぁ……」
やめろと否定する感情とは逆に、
身体の奥底から湧きあがる熱に、
小さな息が漏れる。
深く舌を絡めてきて
何度も口付けをかわした。
逃げようとしても舌を絡めとられ、
そのたびにピ チャピチャと水音が室内に響き、
淫靡(いんび)な音を奏でた。
い、いやだ…っ。
俺は、逃げなきゃと考える反面、
初めて与えられる快楽に抗えず、
もっと、と
せがむ自分がものすごく嫌で怖かった。
なんでなんだ…っ?
こんなの俺じゃない。
何で、もっととか気持ち悪いこと
考えてしまうんだよ…っ。
今、恍惚とした表情を浮かべた淳兄は
俺にとって恐怖の対象でしかなかった。