「俺は、男だ!クソ野郎」
第8章 ドキドキが止まらない。
でもちょっと気になったことがひとつ。
「じゃあさあ、なんであっちの方こんなに荒れてるの?とか、聞いてもいい?」
俺は、机の方を指差す。
昨日は気づかなかったが
よく見たら見えないところが荒れている。
俺の言葉に一瞬だけ眉間のしわを寄せた大悟。
「それは、別として、…昨日なんであんなとこにいた?」
「え」
直球でそう言われた。
も、もしかして不機嫌な理由はそれ!?
「岬?」
うわ、にこ~って笑ってる。
これは、いつもの大悟の怪しい笑みだ。
「そ、それは」
やばい。
今さら言い訳してもダメだ。
だって、俺は女装していたんだ。
たまたまにそこに行ったって言ったら
俺の趣味が疑われる。
ここは、話をかえた方がいい気がした。
「そ、そういえば大悟に言わないといけないことがあるんだ…」
俺は、大事なことを忘れていた。
大悟だって人間だ。
誰だって傷つくことはある。
あの時、俺が言った言葉に
多分、大悟を傷つけた。
「なに?」
「俺、大悟には、関係ないって言って…傷つけた。本当にごめん。俺もそれ大悟に言われたらかなりへこむかも」
頭を下げる。
これがすぐに謝りたかった。
大悟は、あぁ、あのことか
と言った表情を浮かべる。
一方的だったけど、
ケンカみたいなのは嫌なんだ。