「俺は、男だ!クソ野郎」
第8章 ドキドキが止まらない。
「何の用ですか」
「何で電話しても出てくれないの?メールもしたのに返信くれないし…」
翼先輩は、シュンとなって、
ゆっくりと俺を羽交い締めにする。
…ちょ、苦しいわ。
あー、あの迷惑メールか。
電話なんて、
しつこかったからシカトしてた。
それ、お前だったのか。
「もう、関わりたくなかったので」
そう正直に言ったら、
急に真正面を向かされる。
「関わりたくないとかそんな無理なこと言わないで。俺泣いちゃうよ?」
と、子供みたいなことを言ってきた。
「ご自由にどうぞ。それにもう命令は聞いたじゃん」
「それはそれ、これはこれじゃん!」
「意味がわかりません。あ、でも一つ感謝していることは、咲さんに会わせてくれてありがとうございます」
あの美人で
優しい女の人は初めてだ。
もう一回会いたいな…。
「別にいいよ、あの女のことなんか。俺だけを見てよ」
額をちょんと指でつつかれる。
咲さんに対してあの女って…!
こいつ、身の程知らずだな。
「もう、俺帰ります」
来た道をまた戻ろうとした時、
スッと手を掴まれた。