「俺は、男だ!クソ野郎」
第8章 ドキドキが止まらない。
どうしたんだ、大悟。
頭でも打ったのか?
正気ではないことは確かだろう。
だって、よく考えてみろよ。
俺とキスしたって、
何の得にもなんねぇぞ。
それに俺がしたくない。
「その前にさ、何で急におかしなこと言ったか教えて」
これは、 絶対遊ばれるぜ。
それか、ただ
俺の反応を楽しんでいるだけとか。
「もう、我慢しないで行動に出ることを決めたから。ほら、手退けて邪魔」
「えっ」
考えていた予想と全く別のもの。
え、なにこれ?
顔が近いんですけど…っ!?
でもちゃんと手で唇は守っている。
「み・さ・き?手を退けようか」
久しぶりに聞いた。
人の名前を区切って呼ぶやつ。
て。
今はそんなこと考えてる余裕がない。
「だ、だだだ大悟!!一回、冷静になれよ!」
「んー?冷静だけど」
いや、そうは見えないって!
目がバッチリと合っている。
~っ。
なんか
いろいろ堪えれなくなった。
「もうこっち見んなっ」
直視できなくなり、
大悟の背中に回りぎゅっと後ろから
シャツを掴んだ。
「岬?」
それでも、大悟が動くから
抱きついて身動きをとれないようにした。
「だから、こっち見んなって言ってんだよっ」
大悟の背中にぎゅっと抱きつきながら叫ぶ。
「なんで後ろに隠れるの?しかもこっち見んなって何?」
「は、恥ずいからに決まってるだろ。…文句あるか?だって大悟、いつもと違って変だし、調子狂うし何なんだよ、一体もう。意味わかんねぇ…」
俺は、おでこで大悟の背中をドンドンと
二、三回攻撃した。
でも大悟は、まさかの反応なし。
えっ?…無言ですか。
たち悪いぞ、おい。
顔が見えないから、
大悟が今どんな顔してるかわからないけど。