「俺は、男だ!クソ野郎」
第9章 うん。はい断る
「あの~、メイドさん」
「あ、はーい!」
俺もさっそく呼び出しを食らった。
主に男の客にだが。
「えっと、これ下さ…ってあれ?お前もしかして杉本…?」
「え?」
俺の名前を知ってたみたいだから
誰?と思って、客の顔をまじまじと見た。
うわ。
「げっ。…最悪」
「何だよ、げって。久しぶりだな」
忘れたいけど、忘れもしない。
こいつは、紛れもないあの早川だ。
中学3年の時代、
同じクラスで席が隣だった時、
超嫌がらせしてきたやつ!!
なぜ、お前がここにいるんだ。
忘れもしないあの屈辱。
あれは、
俺がまだ青羽中学校の生徒だった話。
~回想~
――――
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……。
俺が嫌いなら話なんか
かけてくるな。
そして、幼稚なちょっかいとか
出してくんじゃねぇよ。
中学3年生の春。
いわゆる受験シーズンでピリピリしている時期だ。
それなのに、
今、社会の授業中…
「おい、杉本。お前の頭で高校合格すんのかよ」
そう、俺に向かって嫌みを言ってくるコイツは、
「うっせぇ、早川!!今、江戸幕府の成立覚えたつうのに!」
そう奴は、早川。
下の名前は忘れた。
あーなんだっけ。
天下分け目の戦い…あ、そだ!
関ヶ原の戦いだ!
「ほんとかよ。じゃあ、江戸幕府を開いた人物は?」
「それくらい知ってるわ!!織田信長!!」
「はずれでーす。正解は徳川家康さんでしたー。あとちゃんと“さん付け”しろよ」
「はぁ?そうやって覚えて、間違ってテストで書いちまったら△になるだろうが!それか得点なし」
「さんつけろ。友達か?」
コイツ、まじいちいち
腹立つ。
突っかかってきやがって。