テキストサイズ

「俺は、男だ!クソ野郎」

第10章 …こんなの俺らしくない





あの子が岬ちゃんだと知って

なぜか俺は真剣に物語に集中した。






『すると、イチゴ畑に夢中になっていた一匹の子どもオオカミくんが家族とはぐれてしまいました』





あ、岬ちゃんだ。

しかもオオカミくんって…


可哀想に。


“女の子”なのにオス役やらされてるんだ。




オオカミね…。




あ、さっきも言ったけどごめん。

やっぱりオオカミに見えない。


とてつもなく可愛い子猫だ。



そう思ってるのは多分俺だけではないだろう。






『はぐれてしまったオオカミくんはとうとう泣き出してしまいました』




岬ちゃんが泣き真似をしている。








…ごくん。

思わず息を呑んでしまった。






なんだ、あれ…。

ただ泣いている演技をしているだけなのに

こうも俺のS心を刺激してくる。





俺が泣かせてやりたい…と思った。






『泣いているオオカミくんの声を辿って、誰か草むらの中からやってきました。オオカミくんは泣き止んで誰?と言いました』




めっちゃ怯えてるじゃん。



ほんと、擽られちゃうね。




『草むらから出てきたのは、ここの森を独占していたライオンくんだったのです』










ストーリーメニュー

TOPTOPへ