「俺は、男だ!クソ野郎」
第10章 …こんなの俺らしくない
岬ちゃんが男だって知った今でも
俺のものしたいという欲は変わらなかった。
「あっ!大悟だ!!」
突然、岬ちゃんが大きな声を出す。
その視線が向いているところを見ると
さっき演技中にも関わらず
台本無視した奴が登場した。
「おばさん。こんにちは」
「こんにちは。大悟くん」
「大悟、なんで台本通りにしなかったんだ?」
「演技でもいやだったから。岬と離れたくない」
すると、堂々と
俺の目の前で岬ちゃんを抱き締めやがった。
くそ、生意気なガキがッ!!
俺より先に岬ちゃんのこと知っている。
しかも岬って呼び捨て。
負けたくないから
俺もこの時から“岬”と呼ぶことにした。
俺はお遊戯会が終わった後も
家は遠いけど岬の家に遊びに行った。
そして、時に少しだけ意地悪して
泣かせたり
時に楽しくなるほど
笑わせたりした。
淳兄、淳兄って言って
俺のあとを追ってくる岬。
本当、それがたまらなかった。
「きょうはなにするのー?」
「今日はコウノコリの絵本を読んであげる」
「おもしろそうー!はやく読んで読んで」
目を輝かせ、尻尾を振っている。
気づいたら
俺が岬にべったりだった。