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涙話 -Beeindruckt sein-

第1章 仮面夫婦生活



「お父さん、私…お母さんからお父さんとのこと全部聞いたよ」

「え…母さんから聞いたのか」

「うん、私が話してほしかったからなの。お母さんを責めないでね」


娘に知られてしまう日がくるとは思いもしなかった…。


「だってお父さんとお母さんの様子が変なのは見れば分かるもん。
昔からそうよ?
表面上仲良くしてますって感じだった。
でも気のせいかなとも思ったの。
本当に仲良さそうに見えたから」


女の勘っていうのはすごいな、
ばれてしまうもんなんだなと思った。


「確かにお父さんが許せないのは分かるよ。
私もお母さんがそんなことしたなんて聞きたくなかった。
お母さんも許してもらえなくて当然だって言ってたよ。
でもね、
今のお母さんはお父さんのことを凄く愛してると思うし、大切に思ってるよ」


気まずくて下を向いて聞いていた俺は、
その言葉を聞いて娘の方を向いた。


「お母さんと買い物に行くとね、これはお父さんの好きなもの、これは嫌いだからって、
ずっとお父さんの話を嬉しそうにしているのよ?
お父さんが誕生日プレゼントにあげたエプロンだって大事にしてるし…

それにね、言うのが恥ずかしいけど…私はお父さんもすごく良いお父さんだと思ってるよ。

それなのにね…そんなお父さんとお母さんが…
仲…悪いなんてっ…」


娘はボロボロ泣きはじめた。


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